実体験レポート
私のラヴィはフィンランド帰り
8.焚き火
夏の終わりを告げるのは、湖に浮かぶ島々にあるサマーコテッジからの焚き火。といっても、島を掃除した時に出た枯れ落ちた枝、古くなってその夏に変えた家の一部、落ち葉などなど大変な量の焚き火なので、島の端、湖に面して山のように積み上げられた木々の山を焚き火するのです。
もちろん、油をそそぎ、ものすごい勢いで焚き火をするので、その日の風向きや、空気の乾燥度、天気なども考慮に入れなければいけません。
その日は、雨の多かった夏の間、サマーコテッジを閉める儀式がなかなかできずにいたので、今日こそは・・・と人間達はいそいそと動き回っています。
ラヴィは、木の枝(フィンランド語でケッピ)を見ると、投げてくれるのだと思い、それを集めている人間集の足元でうろうろうろうろ。湖に面した島の先端(厳密には湖の上)で焚き火をするので、それらのケッピは島から投げ出されるような形になります。そんなことは知らぬ存ぜぬのラヴィは、私がその山に投げ込んだケッピを、ラヴィのために投げたのだと勘違いし、山になった木々をすり抜け、そのケッピを拾ってこようとするではありませんか・・・。
それでなくとも、山のように積み上げられたケッピ。崩れ落ちる可能性もあり、かといって、私がラヴィを連れ戻すこともできず、ラヴィが島の端、湖の上に浮かぶケッピの山から戻ってくるのを、ひたすら手をこまねいて見ているしかありません。何度呼び戻そうと大声で叫んでも、私の投げたケッピがどれか分からなくなってしまったラヴィは一向に帰ってこようとしません。必死になって探しています。
釘が刺さったままのケッピもたくさんあるので、またパットを傷つけはしまいかと気が気ではなく、まったくあの頑固さは誰に似たのだろう…と不思議に思ってしまいます。(他の人は“もちろん飼い主”と口をそろえて言いますが…)
ラヴィの頑固さといえば有名で、波の荒い海にボールを投げ込み、そのボールを見失ってしまって、海でボールを捜し徘徊しているラヴィを見て、沖のほうまで流されはしないと思い心配になって、別のボールをラヴィのいる近くに投げ込んでも、見向きもしない。絶対に最初に追いかけて見つけようと思ったボールでないとダメなのです。
そのときのケッピもそうで、別のケッピには見向きもしません。仕方なく、足場の悪いケッピの山を私が行って、連れ戻さざるをえません。私が恐々ケッピの山に向かってくるのを見て、ラヴィもあきらめたようで、ようやく戻ろうと私の近くに来て、陸に連れ戻すことができました。
夕日が落ちるころ、いっせいに油を注ぎ、燃え上がる炎を目の前に熱さと熱風で近くにいられない私達とは正反対に、ラヴィは一瞬固まってしまったと思ったら、炎の近くに近寄っては離れ近寄っては離れ、とっても不思議な行動をしばらくとっていました。
そういえば、焚き火をする少し前に、炎に包まれ苦しんでいる人の映像をテレビで見ていて、ラヴィが突然テレビに向かって、テレビの目の前で、ものすごい勢いで吠えていた事があります。ラヴィは、焚き火の炎とテレビの炎との区別がついているのでしょうか?それは、ラヴィに聞いてみないと分からない事ですが、いずれにしろ、本物の燃えさかる炎を生まれて始めてみたラヴィは、不思議な行動をした後、熟睡モードに入った事はいうまでもありません。
毎日毎日、ラヴィにとって新しい経験ばかりだったサマーコテッジも、短い夏の終わりを告げる焚き火と共に、長い冬の間眠りにつくこととなりました。
Written by MOTOM
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