1999/03/19-21 雪のMonteRosaとVaralloの村

on 1999-03-19 | Tags: イタリア, バス, ロープウェイ, 宿泊, 検疫, 街歩き, 鉄道, 雪山

留学期間が終わりに近づいてきた。 最後のウィークエンドに、Amieを連れてもう1回小旅行を-自然の豊かな、「国際的観光地」ではない小さな古い街を訪ねようと-考えていた。 そうだ、モンテローザに行ってみよう!ミラノから比較的近いエリアの中から、アルプス第2の高峰モンテローザの麓のセジアの谷の街を選んでみた。 鉄道の路線が、モンテローザの氷河から始まってポー川に合流するセジア川とその谷を、なぞるように遡っているのもなんとなく興味をそそった。

丁度、Amieの輸出証明書発行手続きのために、帰国までのどこか1日は、授業をお休みして朝からお役所に行かねばならない事情があった(午前中しかお役所が開いていない)。 その日を金曜日にして、学校はサボり、輸出証明書を貰ったら、そのままウィークエンドに突入することに決めた。 時刻表をチェックして、Amieも泊まれるホテルを電話で予約して、久しぶりの泊まり旅に前日からそわそわと「遠足前の小学生」状態である(もちろんAmieではなく私の方)。

お役所が開くと同時に申請を済ませ、まんまと9時には犬の輸出証明書を手に入れてAmieをピックアップするため一時帰宅。 11時20分のTorino行きの電車に乗り込んだ。 これでNovaraまで40分、Novaraで2両編成のかわいい電車に乗り換えて約1時間で、Varalloというセジアの谷の歴史的中心地、電車の終点で今回の旅の滞在地でもある街に着く。

NovaraからVaralloに向かう電車には、途中たくさんの小学生が乗り込んできた。 Amieを見つけて何人かがAmieを撫でに来る。 「この子噛まない?」「良い子?」と飼い主である私に確認してから、口々に「なんて綺麗な子」とかなんとか言いながら頭や喉元を撫でてくれる。 見ているとイタリアの子供は犬への接し方を良く心得ていると感じる。 5歳以下くらいの子供だと、道で出会っても、付き添っている母親またはおばあさんが、その子と犬を接触させたがらない(子供が手を出そうとしても制止するし、犬から遠い側に子供をやることも多い)所から勝手に想像するに、子供が成長したある時点で、親が接し方を手ほどきしているんじゃないかなぁ?もちろん、どこにでも犬がいて接し慣れているというのもあるでしょうけど。

ところで、丁度この旅行をしていた頃、イタリアはR.Begliniの「La Vita e' Bella」というイタリア映画がオスカーを取るかどうかで連日盛り上がっていた。 丁度数日前にこの映画を観て大いに涙した私も、心密かに応援していて、Varallo行きの電車の中でも新聞の関連記事を一生懸命読んでいた。窓から見える谷あいの村々の風景が鄙びてきたなーと思ってからまたしばらく新聞に集中していて、ふと気付くと何だか見たことのある風景が反対方向に流れている。 「箱根登山鉄道みたいにスイッチバックするのかー」と感心した次の瞬間に、自分が終点のVaralloで降り損ねた事に気付いた。 電車はもと来たNovaraに向かっていたのだ。

とっさに時刻表を取り出し、戻りの電車が3時間後な事、次の駅で降りればVaralloまで4Kmな事を確認して、次で降りて歩く決心をした。 4Km位で済むなんてイタリア語で言えば「Meno male」ってところだ。 Amieの散歩だと思えば大したことはない。 実際、春のぽかぽか陽気の鄙びた村を歩くのはそう悪くはなかった。
程なくVaralloの街に到着、観光案内所で街の地図とバスの時刻表を貰ってから、3時前にホテルに到着。

ホテルに荷物を置いてから、散歩がてら街の高台にあるSacro Monteという16世紀後半のカトリックの聖堂を訪ねた。 宗教改革派の影響が最も近くに及ぶこの地に、カトリック側の保塁として築かれたのだそうな。 新約聖書に出てくるキリスト復活のお話が、番号順に並んだたくさんの祠の中で、彫像とフレスコ画によって語られている。 結構リアル。 かつて会津若松で白虎隊が自刃する場面の絵を見て気分が悪くなったことのある想像力過多な私は、ここでもキリストが磔になる場面以降は見ないで止めておいた。

Sacro Monteはちょっと日本の庭園を思わせるような雰囲気の庭園内にたくさんの祠と、中心の聖堂が配置されているのだが、私が祠を覗き込んで廻る間、夕暮れが迫って人も少なかったのでAmieは自由にさせておいたら、管理のおじさんにリードを着けるように言われた。 Amieを呼び戻そうとするが、1回で来ないのをみて、おじさんがAmieを捕まえようとした途端、遊んで貰えると勘違いしたAmieがラテン系モードに変身し、嬉しくて堪らない自分を持て余して辺り一帯を気が狂ったように駆けずり廻った(レトリバー系の飼い主さん、お宅の犬はラテン系の血入ってませんか?)。 最後は管理のおじさんにチェーンを捕まれてお縄となったけど...やっぱり、史蹟やこの手の場所でノーリードにするにはAmieはちょっと早かったみたい。

明けて土曜日。
バスに乗って谷をさらに奥にAlagna Valsesiaの村まで入ってそこからロープウェイでMonte Rosa(4637m)の3260m地点Punta Indrenまで行ってみたかった。 バスとロープウェイ、犬は乗れるのかなぁ?まずバスについては、バス停近くのバル(ここで切符を購入する)によって聞くと大丈夫とのことで1歩前進。 犬用にも大人1人分切符を買わなきゃだけど、もともとが安いから許そう!

バスは地元の人が数人乗っているだけでガラガラ。 Varalloの街を抜けて3つ目くらいの村から家々の造りが変わってきた。 それまでは赤っぽい屋根の家が多かったのに、この村以降は灰色の石の壁と石の屋根、たぶんこっちがこの地域の伝統的な家の姿なんだろうと思う。 1時間あまりのバスの旅は、この他にも途中急にモンテローザの眺望が開けたり、周囲の風景がだんだん雪景色に変化してきたりと飽きなかった。 座席の下で居眠りしていたAmieは、運転手さんが坂道でブレーキを踏んだ途端に、座席4つ分床を滑ってタイヤハウスの盛り上がり部分にぶつかってようやく止まった。あぶないあぶない。

結局終点のAlagna Valsesiaまで乗っていたのは私とAmieだけ。 スキー場があるんだけど、スキーヤーは自分の車で来るからバスは使わないのかな?

村の観光案内所でロープウェイに犬も乗れる事と、乗り場や料金を教えて貰ってさっそく乗り場に向かった。 話が脱線するけれど、この辺りはテレマークスキーも結構盛んで、丁度前の週にテレマークのフェスティバルがあったんだっていうことも観光案内所の親切なシニョリーナに教えて貰った。 切符売り場で「犬の切符は?」と聞くと要らないとのこと。 助かるー(人間のロープウェイ代が結構高かったので...)。

利用客のほとんどはスキーヤー。 3本乗り継いで3260m地点に到着。 お天気快晴、気温-5℃。
Amieは1ヶ月前に小川に飛び込んだとき以来の喜びようで、雪の上で身体をゴロゴロしまくったり、スキーヤーについてスロープを駆け下りてみたり大騒ぎである。 吠えて人を呼ぶことの滅多にないAmieが、私にもこっちに来いとわんわん吠える。 スニーカーでは危なくて降りられないし、第一「どっちへ行くか決めるのはあんたじゃなくて私でしょ」とばかりに無視していたら、それでも諦めきれないらしくてしばらく吠えていた。 よっぽど雪のスロープが気に入ったらしい。

なるべくスニーカーでも危なくない平坦そうな場所を選んでAmieと雪で遊ぶ。 私は3260mの高度の影響で目の前がちょっと黄色なのに、Amieには高度も寒さも関係ないみたい。 この子がこんなにまで駆け回るのが好きとは知らなかった。 氷の固まりを投げてやると、Amieは大喜びで走って拾いに行き、くわえて放って遊ぶ。 で、また雪の上で背中ゴロゴロ。 スキー場と言っても日本のスキー場とは人口密度も自然環境も全然違って、もろに山岳スキーの風情である。 背後にMonte Roza、周囲はどこまでも雪のアルプス。 こんなところにAmieと2人(?!)でいるなんて本当に不思議だ。

こんな所に連れてこられる犬はAmieだけだろうと思っていたら、イタリア人に日本の常識は通用しない。 実際、犬連れのスキーヤーが何組かいた。 飼い主が滑る後を走って付いていくらしい。 ゴル、シベリアンハスキー(マラミュート?)、シェパード、よく判らないけどデカイ犬etc...日本の「箱庭スキー場」じゃあ危なくて出来ないことが、ここでは全然問題がないのが羨ましい。 (私も板持ってくればヨカッター)。 Amieは1匹のゴールデン・レトリバーと仲良しになって雪の上で追いかけっこをした。

1時間以上たっぷり遊んでからロープウェイ乗り場脇のバルでパニーニとカプチーノの昼食にする。 Amieはあっという間に自分のガムを食べ終えてバルの床でお昼寝。 しばらく室内で暖まってから外のデッキに出て、他の人に混じって日なたぼっこ。 -5℃なのに風がなければものすごく日差しが暖かく感じる。 授業で習った「お日様を浴びに行く」みたいな言い回しってこういう状態を言うのかな~。 バルのデッキではAmieがみんなの間をうろうろして落ち着かないので、さっき遊んだ雪原に戻ってそこで改めて雪に寝そべってお昼寝をする。 たまにAmieに氷を投げてやって、のんびりとさらに1時間ほど遊ぶ。

3時近くになって下に降りることにした。 ロープウェイの途中駅にもバルがあって外でスキーヤーがくつろいでいたので、そこでもちょっと雪で遊んだ。 標高1500m位まで降りてくると、雪も柔らかくなってずいぶん様子が異なる。 ここからパラグライダーも飛んでいた。

帰りのロープウェイの中では、とっても親切なカップルに出会い、Amieはずいぶん遊んで貰った。 そのカップルの彼の方に「ほら向こうにAmieのお友達がいるよ」と言われて振り向くと、ロープウェイから遙か彼方、午前中出会ったゴールデン・レトリバーが飼い主が滑る後を全速力でついて走って行くのが遠く夕日に光って見えた。

さて、問題です:Varalloに戻るバスの中で、遊びすぎで死んだように眠りこけていたのは誰でしょう?(私じゃないよ)

翌日、日曜日はお昼過ぎの電車で帰るつもりにしていたので、午前中はVaralloの街中を散策する。

Sacro Monteだけじゃなくて街の中には何世紀も前の古い教会がたくさんある。 メイン通りであるVia Romaは、4車線分位ある道幅の半分強が歩道で、歩道上にはベンチもたくさんあってとっても歩いて気持ちが良い。 日曜だったので教会から出てきた人達(ご老人が多い)がお散歩をしている。 この通りに面したMunicipio(町役場)の敷地内は大きな木としっとりと落ち着いた庭園の公園になっていて、森林浴をしながら散歩を楽しむことができた...というように、有終の美を飾って今回のミラノ滞在最後の小旅行はおしまい。

余談:
ミラノに帰る途中でのこと、Novaraで電車に乗り込もうとしたら、両親に連れられた10歳くらいの女の子が、Amieを見てまるで恐竜にでも出会ったかのように怖がった。 その様子を見ていた車掌から「今すぐ口輪を着けるよう」に強く言われた(注:本来着けなくちゃいけないものです)。

Amieはただ私の側にいただけで、その子を近づいたわけでも吠えて怖がらせるようなことをしたわけでも無い(だから最初、ちょっとだけその女の子の過剰反応にムッとした)。 でもこの小さな事件から、犬天国のイタリアにも犬が怖い(嫌いな)人はたくさん居て、彼らと、私達犬連れはお互いにバランスを取りながら暮らしているのだったことを再認識。

記事本文おわり

旅のデータ - 1999/03/19-21 雪のMonteRosaとVaralloの村

電車(Milano-Varallo間)
乗車区間: MILANO→Novara(乗り換え)→Varallo
料金(往復):人間=L.20.200
       犬 =L.12.200 口輪必要
バス(Varallo-Alagna Valsesia)
乗車区間: Alagna行きのバスで終点がAlagna Valsesia
犬用に人間1人分のチケットを買う。口輪必要
料金(片道):L.4.600
営業所 Tel. 0163-51555
ロープウェイ(=イタリア語でFunivia)
乗車区間:Alagna Valsesia-Punta Indren ロープウェイを3つ乗り継ぐ
料金(スキーヤーじゃない人用の往復券):L.41,000
運行時間:8.00-12.00, 13.00-16.30
ホテル宿泊(Ellebi Club Hotel、三ツ星)
所在:Vallaro Tel. 0163-58992
犬料金=L.10.000
Vallaro観光案内所
Tel. 0163-922988

(1999-03-19 現在)