1999/04/08 天浪検疫所犬舎での生活(1)

on 1999-04-08 | Tags: 動物検疫, 成田空港

イタリアからAmieと共に帰国して10日経つ。 日本到着と同時にAmieは天浪検疫所の犬舎で服役中の身となり(検疫期間は2週間)、その間の犬の飼育方法として自己管理(要は業者に委託せずに自分でお世話をするという意味)を選択した私は、犬舎に通い妻状態の毎日である。

天浪検疫所犬舎での生活にも飼い主、犬共々慣れてきたところで、その様子について少し書いてみたいと思う。 2回に分けて、まず今回は検疫所の犬舎の様子と私達の1日の過ごし方を中心に。 そして次回はその続きと、出所時の様子について書く予定にしている。 (なお、文中でスタッフと呼んでいるのは、犬の飼育委託業者のスタッフのことです)

さて、天浪検疫所犬舎は成田空港敷地内にあって、場所的には空港第1ターミナルビルの対岸、(たぶん)一番長い滑走路の真ん前に位置している。 犬舎は第1と第2犬舎に分かれていて、それぞれ別の委託業者が管理しているんだけれど、このうち犬房スペースの関係で比較的大型犬が多いのは第1犬舎の方で、Amie(ラブラドール・レトリバー)の犬房もこっち。

第1犬舎には犬房が80程並んでいて、一つの犬房の広さは1.3m×4.5mっていうところだと思う。 それがさらに屋内と半屋外の2つのエリアに分かれていて、屋内エリアに暖房がついている。 犬達は、屋内エリアを寝場所に、半屋外エリアはうろうろしたり排泄したりする場所に使っている。 犬房の他には、食餌の用意をするための配膳室、医務室、グルーミングをしたりする部屋、面会室、それからスタッフの事務所兼休憩室が備わっている。

犬舎の外は、犬達の輸送ケージ置き場と、ちょっと散歩できる程度の敷地があってベンチが2つ。 一般面会者は、犬房エリアには立入禁止で、スタッフに犬を連れ出してきて貰ってから、この敷地内と面会室の範囲で自分の犬と散歩したりできるようになっている。 (自己管理者は、犬房内の掃除やエサやり等の必要から、犬房エリアに立ち入ることができる。 それで、私は犬房内の様子を詳しく知っているんですよ。)

スタッフの方達は、みんな犬が大好きでこの道に入ったような人ばかりで、たくさんの犬が入れ替わり立ち替わり出入りして大変なのにも関わらず、それぞれの犬についてきめ細かく面倒を見てくれているという印象を受けた。 Amieは自己管理なので、直接のお世話にはならないのだけれど、名前も覚えてくれて、毎日事務所に遊びに行くと相手をしてくれる。 特に、2人いる女性スタッフがAmieのお気に入りさんだ。

午前中と午後に1回ずつくらい、動物検疫所の検疫官が犬の健康チェックに廻ってくる。 あちらは検疫する側でお役人だし、中には堅そうな印象のおじさんもいるので、彼らが廻ってくるとちょっぴり緊張してしまう。 おまけにAmieは、犬房に独りでいる時は滅法大人しいらしいのに、私が側にいると急に元気が出て、検疫官に向かって「怪しい奴」とばかりに吠えてみせる真抜けた忠義心の持ち主だからなおさらだ。

ところで、犬舎が滑走路の真ん前にあることから容易に想像がつくように、ここは飛行機発着時の騒音がひどくて、特に雲の低い日などは話が聞こえにくい時すらある。 人間よりも耳の良い犬達には、この騒音がどういう風に聞こえるんだろうと思う。

しかもこの音、犬達にとって、うるさいだけではなく、別の意味でも余り好ましくないと思う。 だって、ここに着く前に、飛行機の貨物室で、同じこの怖ろしいジェット音を聞きながら何時間も独りぼっちで過ごした後、またここでこの音を聞かされるわけでしょ?! いい気がしないハズって思いませんか?実際、スタッフの1人から聞いた話では、神経質な犬の中には怖がる子もいるらしい(騒音が怖いのか、悪夢の再現に怖がっているのかは知りませんが)。 もっとも、少なくともAmieは気にしている様子はないし、平然としている犬も多いので、これから預ける方も、始めからあまり心配なさらぬよう。 たかが2週間だし、ここだって住めば都ですから...?!

さてさて、次に自己管理を選んだ私達の1日をご紹介しよう。

朝9時、検問ゲートをくぐって検疫所の駐車場に車を停め、第1犬舎に向かう。 もう何日も通っているので検問ゲートを守る警官のおじさんともすっかり顔見知りになった。 「毎日大変だねぇ」と、ねぎらいの言葉をかけてくれる警官もいる。

第1犬舎に着くと、管理している業者のスタッフに「来ましたーっ」とご挨拶して、すぐAmieを犬舎から出し検疫所敷地内で排泄させる。

前回ちょっと触れたように、Amieったら前の日の夕方5時前に私が帰ってから、翌朝9時に来てこうして外に連れ出すまで、犬房内ではウンチもおシッコもしないで我慢しちゃっているもんだから、朝のおシッコの量の多いこと、多いこと。 外に連れ出すとだいたい長ーいのを1回して、ウンチをした後に、またもう一回分おシッコし直している。 「そんなに無理すると膀胱炎になっちゃうよー」って心配する反面、「絶対犬房を汚さない」というAmieの健気で調子っ外れな決心に、つい涙ウルウルしちゃう相変わらず超親馬鹿・飼い主の私である。

出すモノ出してスッキリしたAmieは朝の食餌タイム、引き続いて30分位一緒にボール遊び。 ボール遊びに飽きたら(飽きるのは私の方だけど)、犬房を掃除したり(note-1参照)、Amieの身体を拭いてやったりしてから、一休み。

note-1: 掃除道具等は、業者の方のご厚意で借りられます。

春の転勤シーズンで、現在第1犬舎には80頭位犬が居るのだけれど、幸いというか、たまたまというか、自己管理の犬はAmie1頭だけなので、かなり自由が効く。 特に他の一般面会者の入れない午前中いっぱいは、他の面会者とかち合うこともないので(note-2参照)、敷地内でAmieとボール遊びをしたり、面会室をフルに使わせて貰って、Amieを足元に侍らせつつ、こうしてHPの原稿を打ったり、新しく始める仕事の構想を練ったり、たまにはイタリア語の勉強をしたりして過ごしている。

note-2: 検疫期間中は犬同士を接触させてはいけないため。

午後はぽつりぽつりと面会者が来る。 でも、今のところ多い日で3組くらい。 東京から成田まで結構あるし、この天浪検疫所があるのは三里塚という所で、成田空港の敷地内とはいえ、駅からさらにバスを乗り継いで行かないとたどり着けない場所にある。 首都圏に住んでいてさえ何度も通おうと思ったら結構大変なのだ。 おまけに検疫の最初に貰うパンフレットに、「面会は犬にかえってストレスを与える場合があり云々」と書いてあるので、会いたい気持ちをぐっと堪えて控えている人もいるに違いない。

ま、理由はとにかく面会者も疎らなので、午後も引き続きAmieと比較的呑気にしていられるのである。 でも、椅子以外に何もない面会室で、1日中一緒っていうのもそれなりに疲れてくるから、最近は、午後の面会時間帯にAmieを一旦犬舎に戻し、私は車に戻ってお昼寝することに決めている。

午後3時半過ぎになると、そろそろ他の犬達の食餌タイムが始まる。 ちょっと時間的に早い気もするけど、80頭もいて、それぞれ食事内容も与え方も異なるので、与えるスタッフ側は時間も手間もかかって大変だ。 ま、人間だって入院したら、おやつの時間を過ぎたか過ぎないかの頃に夕飯が出てくるから、それと同じです。

ところで、スタッフのお姉さんが「みんな御飯だよー」と呼びかける声を聞くと、Amieは自分も貰えるものと思うらしく、面会室のドアの内側できちんとお座りをして待っているのは見ていて笑える光景だ(貰えるはずないでしょ)。 ドアの隙間から、なにやら良い匂いも漏れてくるらしく、これ以降は面会室の中でボールを投げて遊んでやっても、どこか身が入らなくなっちゃう。 花も恥じらう1歳3ヶ月のレディーなのに、相変わらずの食い気先行型。

4時になって、ようやく意地悪な飼い主(=私)も夕方の食餌の準備に入る。 同じ犬舎内には、食が細くてスタッフを心配させる子もいるというのに、Amieはいつもと変わらずガツガツガツ、最後にゲップをひとつ...花も恥じらう1歳3ヶ月のレディーなのにぃ...。

4時過ぎにもう一度おシッコをさせてから犬房に戻し、健康管理表に「Amieは今日も一日元気で、快食、快便」マークを書き込み、管理スタッフに「帰りまーす。 また明日もよろしくっ」と一声かけて退場で、ちょっとだけ退屈だった一日がまた終わるわけです。

出所まであと5日。Amieガンバ!!

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