2002/09/21 船形山(宮城)

on 2002-09-21 | Tags: 宮城, 宿泊, 登山, 車

9/20(金)出発

9/20 金曜の晩。いつも通りの荷物に、軽登山靴と2.5万分の1地図などを積んで車を出す。途中のガソリンスタンドで給油ついでに空気圧だのオイル類の点検をして貰ってから東北自動車道に乗ったのが23時前。時間も時間なので道は順調に流れていた。

いやー、それにしても夜中の東北道は圧巻デス。ズンズンと流れていく大型トラック群は、この道が日本のロジスティクスを支える経済の大動脈であることを実感させてくれる。彼らが運ぶ物資が工場やお店や東北の人たちのお家に届くんだねぇ、すごいな~(感想が小学生並(^_^;)。

3時半頃になってようやく仙台の手前の菅生S.A.に着き、Amieのトイレを済ませてから朝まで車中泊した。茨城に居た頃はすぐ隣が東北...だったのに、東京から行く東北はとても遠く奥深く感じられる。

小荒沢林道でパンク

7時起床。菅生S.A.からさらに30分程走って大和I.C.で高速を降りる。コンビニで買い物して県道升沢吉岡線を上がり、途中から小荒沢林道へ。林道の入り口の看板には「一般車は入っちゃダメ。」「途中で何かあっても知らないよ。」と書いてあった(こういう言い方ではないけど意味はこんな風)が、登山ガイドに書いてあるし、大和側からだとこの道しかないので気にせず入る。

噂通りの悪路。狭くて石ゴロゴロの未舗装道。轍深く、たまに落石あり。以前乗っていたジムニーやパジェロならいざ知らず、奥様御用達の街乗り軽四には結構辛くて、10~20Km/hで走っても危なっかしい。
6.5Km程の道程を30分近くかけてようやく色麻(しかま)町側から延びる岳山林道(ここもダート)との合流地点まで来た。ここから目指す大滝野営場(船形山登山口)までの2Kmだけは不思議なことに舗装道だ。

ようやく舗装道だぁ~(^_^;)と思った瞬間、パンッと音がして車の様子がおかしくなった。
見ると右前輪がバーストして20cmほどパカッと裂けている。ダートを走る途中、石でタイヤがキズついたのかもしれない。加えて小荒沢林道側から舗装道へのつなぎ目部分は結構段差が大きく、私がそれに気づかずにドンと車を進めてしまって、とどめを刺した。

周りはJAFもきっと嫌がる人里離れた大自然のど真ん中(呼ぶ気もないけど)。後部座席のAmieは、山だ!自然だ!車が停まったからもう到着したんだ、あたちも早く外に出して!と、遊ぶ気満々で大騒ぎしている。ハッチバックを開けてやり、大人しくしているように宣告。こういうシリアスな状況に脳天気なおばかさんが一匹居ると、どよよーんと落ち込んでる暇がないから逆にイイですな(半分皮肉>Amie)。

あ~あ(-.-)。でも1本だけで良かった。中途半端に傷ついて帰りの高速道でバーストなんてのじゃなくて良かった。とにかくタイヤを変えなくちゃ。

タイヤ交換は、4年位前にジムニーでタイヤのローテーションをした時以来。というかそれが最初で最後だ。典型的な軟弱ドライバーなんだけど、ここでなんとかせにゃ遊びに行けない。軍手をはめて、後輪に輪止めをし、マニュアル見ぃ見ぃ、もそもそと始めた。

ジャッキアップしかけていると、目の前に軽トラが止った。
「パンクしたかい? (ダート道を)走っちゃったんだろ」と中からおじさんが顔を出した。
「はぁ、でもスペアもあるし大丈夫です。」

私の手つきがあまりにもおぼつかなく見えたのか、おじさんは車を隅に寄せて降りてきた。地下足袋に作業服姿、日焼けして赤銅色の顔、50歳位のおじさんだ。

車中のAmieが警戒して一瞬ウゥと低い声を出したが、私に一喝されてしゅんとなり、当のおじさんは「なんだオメェ居たのか」位で気にもしない。おじさんの地元言葉は、時々聞き取りづらかったが、ここにはきのこ採りに来たんだそうだ。

手慣れたおじさんのおかげで、無事応急タイヤに交換できた。おじさんは作業が終わると、私とAmieが見送る中「じゃな」とだけ言って去っていった。

きのこ採りの3人組と出会う。山登り出発

10時半近く、大滝野営場に着き車を停める。同じ頃にきのこ採りの男女3人組が隣に駐車した。「犬のお散歩ですか」
「山に一緒に登るんです」と言いながらAmieにリュックを背負わせクマ避け鈴をつけてやると、彼らは珍しがってAmieちゃんAmieちゃんと犬を撫でてくれた。Amieはやっと自由になれたものだからそこら中を探検してチョロチョロしている。草むらに頭をつっこんだとみえて、草の種が丁度垂れ耳の縁に沿って並び、レゲエ風の飾りをつけたように小洒落て見える。

きのこ採りの3人と駐車場で分れて、登山道に入る。しばらくして鈴の音がしないことに気づいた。どうやらAmieはさっきチョロチョロしていた時にどこかでクマ避け鈴を落としてきたらしい。ま、戻ってから捜せばいっか。

柴犬と出あう

瑞々しいブナの森を1時間半ほど登る。途中で上から声がした。会話の感じから犬連れらしいと思い、止まってAmieを引き寄せ待っていると、赤いリードの柴犬を連れて中年の夫婦が急斜面を降りてきた。向こうもこちらを認めてちょっと動きを止めたので、「こんにちはぁ。(私の犬は)押さえているので、どうぞお先に。」と声をかけると、柴犬の飼い主さんは「こんにちは。ウチのは大きな犬を見えると吠えるから..」と言いながらゆっくり通り過ぎた。でもその柴犬は全然吠えなくて、心なしかまん丸にした目でAmieを見ながら通り過ぎた。飼い主のおじさんは「あれぇ、吠えないな。不思議だなー」なんて言いながら下っていった。

次に出会ったのは鈴付きのお遍路さん杖みたいな杖を持った老夫婦(親子?)。「さっき、柴犬と出会ったろ?」と聞きながらAmieをかまってくれたおじいさんの方は獣医さんだそうだ。

御来光岩という展望の良い岩場では30代位とおぼしき仲の良さそうな夫婦に出会った。
「こっちに廻るともっと景色が良いんですよ」と私たちを手招きして、Amieにも「(ここまで登ってきて)偉いねぇ」と優しく声をかけてくれた。御来光岩からは前船形山へ続く鞍部の紅葉が見事であった。

山頂

御来光岩から山頂まではホンの一息だった。20人位が思い思いに休んでおり、犬が登ってきたのを見て口々に珍しがり、おおむね歓迎してくれた。数m離れた所に座っているおじさんはよほどの犬好きらしく、水をピチャピチャ飲むAmieの姿をずっと眼を細めて見ているのがわかる。程なく先ほどの老夫婦や仲良し夫婦も登ってきた。

東北独特の和やかさのある山頂風景。今日は雲で月山や鳥海山までは見渡せないけれど、それでも十分素晴らしい展望だ。私が缶ビールで一人乾杯する背中では、30手前位のあんちゃんが、山頂でバッタリ出会った旧知の中年夫婦相手に「9月に入ってから毎週山に来ている」こと、「35歳までに○○山(たぶん日本アルプス)に登りたい」ことを熱っぽく語るのが聞こえてくる。

蛇ヶ岳から大滝野営場へ。徒渉ポイントでAmie水遊び

しばらく休んでから山頂を後にした。戻りは蛇ヶ岳から瓶石に抜け、三光の宮手前から大滝野営場に戻るコース。山頂からしばらくは展望の良い尾根道を歩く。単身の女性ハイカーが追いついてきて話しながら歩く。彼女が先に行った後も、Amieは彼女にくっついて行こうとする。Amieは私が彼女と話していたので一緒のグループだと勘違いしたようだ(Amieはグループで歩く時、いつも先頭の人に着いて歩き、時々最後尾のメンバーチェックに戻ってくる歩き方をする)。「違うんだよ~」とAmieを呼び戻し、彼女の姿が見えなくなってから改めて歩き出した。

山頂から1時間ほど行った蛇ヶ岳山頂付近で、別の男性が「やっと追いついた」と言いながら私たちに追いついた。さっき山頂で見かけた人のようだ。彼としばし話して別れた。山頂にはそこそこ人が居たのに、ここまで来ると前からも後ろからも人に会うことがなくなってちと心細い。疲れも手伝って私がAmieにかける言葉が少な目になるが、Amieの相変わらず元気一杯な様子に力づけられる。鮮やかな赤い実が目に沁みた。

三光の宮の分岐を過ぎると、それまで草原や乾いた感じの樹木帯だったのが、再び見事なブナの森に変わった。見上げるとお日様に透ける淡い緑。樹木の鼓動って本当に聞こえるのかな?と、太い幹を抱いて耳をあててみる。傍らでAmieが「アンタ何してんの?!」と不思議そうな顔で私を見上げた。

急斜面を降りるにつれ水の音が大きくなってAmieがソワソワし出した頃、徒渉ポイントに出た。
最後のお楽しみだから良いでしょーと許し、Amie嬉々として飛び込んだ直後に、大事な事に気づいた。リュックの一方はAmieのウンチと昼ご飯のゴミ。でも反対側にはロープと私の非常食が入っていたのである。「あー、私のチョコレートとキャンディが...(T.T)」。
ま..まぁいっか。
『教訓その1:濡れては困る大事なモノは、レトリバー種に背負わせない(-.-)』

大滝野営場到着。人命水

沢を渡って急坂を上がると程なく出発点の野営場が見えてきた。3時半を過ぎていたので、駐車していた車も朝の半分以下に減っている。この野営場には「人命水」という名の湧き水がある。湧量豊かで、直径20cmほどのパイプ一杯に流れ出ている。さっきから地元風のおじさんが2人湧き水を汲んでいた。ワゴン車の荷台には4リッター入り焼酎のペットボトルが所狭しと並び、背負いカゴが側に置いてある。

水汲みに割り込ませて貰って、湧き水で喉を潤し、山道と水遊びでドロドロなAmieの足を拭いてやる。

「飲み水用に汲んでいるんですか?」と聞くと、「そだよぉ、毎日のように汲みに来るんさ」とおじさん。
2人はきのこ談義を始めた。マイタケより何とかタケの方が旨いとか何とか。
背負いカゴの中を見せて貰うと、立派なマイタケがかご一杯に詰まっていた。これで一株分なんだという。確かに下はくっつきあっていた。私はスーパーのパック詰めモノしか見たことがなかったのでビックリしていると、気さくなおじさん達は口々に「スーパーの工場で作ったマイタケと天然のは味が天と地ほど違う」「もっと大きいxKgもあるのを採ったことあるぞ」「毎年決まったところに生えるから時期になったらしょっちゅう行って芽が出る時期を見ておくんだ」「芽が出てから1週間位でこうなるからな」「デカイのを採ったら次の年は休ませるんだ」などと教えてくれた。

再会。Amieクマ避け鈴を発見!

向こうの東屋でお弁当を広げていた人たちが「あ、Amieちゃん。おかえりぃ」と犬に手招きした。振り向くと朝出会ったきのこ採りの3人だった。しばらく彼らとお話をして、車に戻ると、今度は「鈴沼には行かれましたか」と、御来光岩で出会ったあの仲良し夫婦がニコニコしながら声をかけてくれた。私の車がパンクして応急タイヤなのを心配して、私が戻りに使おうと思っていた岳山林道もダートで途中落石がある事、しかもこちらの方が距離があるので、元来た小荒沢林道をゆっくり行った方がまだ良いだろうとアドバイスしてくれた。

そうそう、クマ避け鈴を捜さにゃ。朝方Amieがウロウロしていたとおぼしき辺りを捜すが簡単には見つからない。ムリと思いつつ試しに「Amie、クマ避け鈴どこ? 鈴捜して!」と言うと、意外にもAmieは訳知り顔で下のキャンプサイトの草地の方にとっとこ歩いて行って、あちこちフンフンしだした。合間に背中ゴロゴロ遊びながらなので、あいつホントに解ってんのかぁ?と半信半疑で見守っていると、Amieが鼻先で何かをつんつん。パッと振り向いて私の顔を見ては、またつんつんを繰り返すじゃないですか。なんと草むらの中でクマ避け鈴がキラリ。

「\(*⌒∇⌒*)/ もぉぉ~Amieちゃんたらお利口すぎっ!名犬っ!」鈴を拾い上げ、Amieを抱いてもみくちゃにした。本人(犬)には失礼ながら、普段は「ボール持ってきて」にしか反応しないお気楽なこの犬が、何時間も前になくした鈴を本当に捜し出すとは全く期待していなかっただけに、マジ嬉しかったっす。
『教訓その2:貴方の子供(犬)は貴方が思っているよりずっと賢い..かも(^^ゞ』

下山

4時過ぎ。先ほどの夫婦の薦めに従って、元来た小荒沢林道を出来るだけ丁寧に走って戻り、吉岡の手前で七つ森の南川ダム近くの公園に立ち寄った。青々とした芝生広場、テニスコート、こぢんまりした野球場がある公園。しばらくAmieを遊ばせ、トイレや駐車場もきれいに整備されていることからここを今晩の宿泊場所に決めた。でもまずは吉岡の街に下ろう。何しろこの辺りはお店らしきものが何もない。猛烈にお腹が空いて、お風呂にも入りたい。

もう少し遊びたい顔つきのAmieを車に収めて、収穫間近の稲穂の道を走ると、バックミラーいっぱいに優しいオレンジ色の光が広がった。「Amie、ほら見てご覧。こんなきれいな夕焼けは久しぶりだ。」 黒く沈む山々を背景にそれはそれは美しい夕空だった。

熊話とお風呂、七が森宿泊

吉岡の街で、「満福」というラーメン屋さんを見つけて車を停め、Amieを車中に待たせて店に入った。お腹一杯食べて、お勘定の際に、店長からすぐ向かいの保険福祉センターでお風呂に入れると教わる。

「あ、もう一つ..この辺りにオートバックスないでしょうか? 日中林道のダートでパンクしてしまったので。」
「ダートの林道?! どこ行ったの。」
「船形山っていう所です。」
それを聞いて、見た目よりずっと快活な店長と、従業員のおじさんが二人して「あ~らら、行っちゃたの。船形山」「度胸あるねぇ...」「熊でるんだよ、熊」と口々に言った。

「他にもたくさん登ってましたよ」と私が言うと
「毎年そのたくさんの中の誰かが(熊で)新聞の死亡記事に載る...」とおじさんが受ける。
...ぎぇっ(/_・)/ でも熊の可能性があるのは私だって事前に承知していた。

「この辺の熊はそんじょそこらの熊とは訳がちがうんだよ」と店長が続ける。
手を広げて大きさを示しながら「こんなで、真っ黒で、犬みたいなんだぞぉ」。
<ぶぶっ、それっまんまAmieのことじゃん☆>
真面目に青くなりかけていた私は、ここで突然吹き出しそうになって「そういうの今車に載ってます。一緒に山に登ったんです」と車の方を指した。

店長は「なーんも、犬なんか連れてたって無駄!むっだっ」
さっき店裏にシェパードが寝ているのをチラッと見かけていた私は「そういえばこのお店にも大きなシェパードいますよね」とふると、店長は「シェパードでも何でも、熊が出たら無駄。む☆だ☆」とダメを押した。

ま、こんな所でとりあえず熊談義は終りになった。オートバックスは近所にないが、タイヤ専門店はR4号沿いにあることを教わり、店を出る。

ラーメン屋で教わった『ひだまりの丘』という保険福祉センターは出来て間もない様子の広い総合施設で、2Fにある公衆浴場はたったの200円。お得でしょ?
ここで汗を流してから、七つ森の公園駐車場に戻って車中泊した。静かな夜で朝までぐっすり眠れた。(続く)

記事本文おわり

旅のデータ - 2002/09/21 船形山(宮城)

船形山
標高1500.2m
2万5000図 「船形山」「升沢」
アクセス(色麻コース):
・東北自動車道 大和IC-県道147(升沢吉岡線)-小荒沢林道-大滝野営場
・東北自動車道 古川IC-岳山林道-大滝野営場
船形山情報(色麻町)
色麻町役場:Tel.0229-65-2110
船形山情報(色麻町)
船形山からブナの便り
船形山からブナの便り
船形山のブナを守る会会員の千葉さんのホームページ。ブナの森の写真に心を洗われるようです。
大和(たいわ)町
URL: http://www.town.taiwa.miyagi.jp/ 大和町ホームページ。七つ森情報など
大和町保険福祉総合センター『日だまりの丘』
公衆浴場(滝の湯、香の湯) 大人200円
URL: http://www.town.taiwa.miyagi.jp/sisetu/hidamari/hidamari.html

(2002-09-21 現在)